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なぜコミュニケーション手法を学ぶのか?

ちょっと支援機器の導入にあたって思うことがあるので文章にまとめてみた.最初は「なぜ支援機器の導入するのにコミュニケーション手法を学ぶ必要があるのか」でまとめていたが,話が膨らみすぎた.ちょっと長い文章だけどお付き合い頂きたい.なお,文章中,表現がきつくなっている点があるかもしれない点をご了承頂きたい.

例として私は今,福祉用具販売業者に勤めているので,その立場で考えてみよう.現在45歳でALSを患っている男性の奥様からこのような問合せのメールが来るとする.
「ALSのため体が動かなくなり、45歳の主人と意思疎通をすることが困難になってきました。保健師の方から意志を伝える機械があると聞き、メールを送ってみた次第です。カタログを送って頂けませんか?」
支援機器やAAC機器の販売,製造を行なっている業者さんなら,このような問合せを受けたことがあるだろう.さて,ここで一番考えなくてはならないのは何?試しに私ならこう返事を入れるという例を書いてみよう.決してこれが100%では無いし,そもそも正しい答えがあるのか,と言われるとしりごんでしまうのだが,まぁ読んでみて欲しい.(思い出したけど福祉情報技術コーディネーターの1級の筆記試験でも同じような問題がでたよなぁ,そう言えば.あれは一体何点くらい取れてたんだろう?)

ご連絡ありがとうございます.早速カタログを送付させて頂きます.
実際にご主人様が機械をお試し頂くために数点確認させて下さい.

  1. 現在どのような方法でご主人様と意思疎通をしていらっしゃいますか?現在困難な場合は,以前はどのような方法で意思疎通をしていらっしゃいましたか?
  2. ご主人様は機械を用いて意思疎通をすることを望んでいらっしゃいますか?
  3. 症状を確認させて下さい.現在ご主人様は自分の意志で動かすことのできる部分はありますか?もし動かすことができる場合,何ミリ~何センチ程度動かすことができますか?
  4. ご主人様はこれまでパソコンやワープロをご使用になられたことがありますか?
  5. もし可能でしたらリハビリテーションや介護で入られている方をお聞かせ下さいませんでしょうか?
大変お手数をお掛けいたしますが,カタログが到着してからで結構ですので,ご回答頂けましたら幸いでございます.

かなり絞り込んで書いてみた.実際には医療スタッフ(医師・セラピスト・看護師・保健師など)や介護スタッフ,技術スタッフの方などから連絡が来ることもあると思うが,とりあえずご家族の方ということで.各項の説明をしていこう.

  1. ご主人の現状を把握するための質問のひとつ.もしご主人が奥さんとなんらかの意思疎通を行なえている場合,機器を使用するよりも他の方法,例えば視線コミュニケーションを用いた方が良い場合もある.ただし,その方法で意思疎通ができるのが奥さんだけだった場合はその他の手段でコミュニケーション手段を確保した方が良いことが多い.
  2. ご主人の意志確認.とりあえず現段階で機器を使う意志はあるかどうかを確認しておかないと,機器の導入が困難となる場合がある.
  3. どのようなスイッチを適用できるかを判断するための質問.
  4. パソコンベースの支援機器を導入するべきか,専用機器を導入するべきかの目安になるので私はこの質問をしていた.
  5. 支援機器の導入はチームを作って行なった方がサポート体制が取りやすいため.
→あまり返信のメールが長くても失礼なので,私の場合は実際にはカタログが到着してから,電話などで詳細を確認することが多かった.あと年齢や性別,疾患などが記載されていない場合は必ず確認していた.

支援機器の専門家の方,このどの程度の点数ですかね.もしよければ採点して下さい.また,自分ならこう回答するというご意見も聞ければ今後の参考になるかと思うので,コメントなりメールなりでフィードバックがあるとうれしいなぁ.

では2と5のに関して補足をしてこの記事をまとめてみよう.

「ご主人の意志確認」について

上の説明でも書いたが本人が本当にやりたいことを見極める必要がある.上の例だと奥さんは意志疎通を第一に考えているようにも読み取れるが,実際にはご主人はテレビのチャンネルを切り替えたいことが第一と考えている場合もある.それを判断するためにコミュニケーション手法をマスターしておくべきなのである.

あとよくあるのが医療・介護スタッフや技術スタッフが先走っているケース.これは商品のことをよく知っているから故,逆に発生してしまう事例である.本人はそこまで希望していないのに「パソコンを使ってこんなことやあんなことができるんですよ!」と言っている場合,本人とスタッフの間にはなかなか埋めることのできない深い溝が生じている場合がある.そのため,本人の意志確認は必ず(できればスタッフも含めて)行なうべきことである.

「支援機器の導入はチームを作って行なった方がサポート体制が取りやすいため」について

私は支援機器の導入は基本的にはチームで行なうべきことだと考えている.例えばスイッチの固定方法の検討にはOTやPTと一緒に,コミュニケーション手法(つまりは機器の選択)についてはSTと一緒に検討すべきである.支援機器の導入にあたって業者だけでなく,医療スタッフ,介護スタッフ,支援スタッフ,お子さんの場合は教育スタッフ,それぞれが行なうべき領域を決めていかなくてはならないところであり,現在支援機器を導入する上で一番欠けている部分である.

何か私が現在の支援機器導入にあたって何を問題点と考えているかを思いっきり吐露してしまっていて恥ずかしい….でも書いた方がすっきりするんで記事にした.多分反論も多いと思う.それもフィードバックして頂けると少しだけ凹むかもしれないが,建設的なお話ができると思うので,よろしく.ということで!

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