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障害全般とAT/AACその2

今回は「障害とAT」「ATとバリアフリー,ユニバーサルデザイン」「高齢者とAT」についてをまとめる.

  • 障害とAT
    • ATが変える障害
      • 障害を補償するためのAT
        • できなかったことをATが可能にする.
        • ATを使ってできたことが,障害のある人の自信になる.
        • ATを使って活動する人をみて,周囲の人の障害に対する意識が変わる.
      • 優位に立つAT
        • 障害のある人がATを使用することによって,一部の活動では障害のない人より優位に立つとができることがある.
          例)「障害のない人と電動車いすの競走」「VOCAを使って注目を集める」など
      • 情報獲得のためのAT
        • 障害のある人はこれまで情報の入手が容易でなく,与えられる情報を頼りに生活をしていることが多かった.
        • 情報機器の活用により,障害のある人自信がインターネットにアクセスし,自分の力で情報を獲得することができる.
        • 家族や介護者よりも多くの情報を持っている場合もある.
      • 世界を広げるAT
        • 自閉症や一部の精神障害のある人には対面でのコミュニケーションが困難でも,インターネット上では他者とのコミュニケーションが成立する人もいる.
        • 障害があっても,インターネットを利用し仕事をしている人もいる.
        • 施設や病院で暮らす人たちにインターネットが新しい活動の場を提供している.
    • 新しいテクノロジーが生み出す障害
      • 情報化の進行により,情報機器を利用できない人が生活に支障をきたす場合がある.
      • 情報入手に障害があることを情報障害という.
      • 情報機器を利用できる人とできない人の間に格差が生じることをデジタルデバイド(情報格差)という.
      • 障害者や高齢者がデジタルデバイドにより不利益を被りやすいと考えられている.
    • AT利用への不安
      • バーチャル世界へ没頭してしまう?
        →現実世界で制限を受けてしまう障害のある人にとって,バーチャル世界は可能性を秘めたもうひとつの世界である.現実世界との接点を失わないように配慮し.2つの世界を上手くすみ分ける必要がある.
      • ATの使用により障害回復が妨げられる?
        →ATを使用するか機能選択かの二者択一ではなく使い分ける必要がある.両方のアプローチを場面によって使い分ける方法で自立度を高めるように配慮する必要がある.
    • ATをうまく利用するためのポイント
      • AT機器がすべての問題を解決するものではないことを理解する.
        • AT機器の機能には限界があり,多くの人が期待するレベルに達してはいないものが多い.
        • しかしAT機器が使い物にならないという訳ではなく,場面を限定することで有効に使用できる.
      • 形を変えてできる方法を考える.
        • 障害のない人と同じようにすようと考えないようにする.
          例)マヒによりメモがとれないならICレコーダーで録音しメモにするなど
      • 部分参加
        • 全体の活動の一部分に積極的に関わることで達成感をえることは可能である.
        • AT機器で全てのことはできなくても,一部分に関わることができることは多い.
    • ATとバリアフリー,ユニバーサルデザイン
      • AT(支援技術)とは
        • リハビリテーション領域への工学的・技術的支援はリハビリテーション工学(Rahabitiration Engineering)と呼ばれていたが,福祉機器を必要とする人には高齢者などリハビリテーションにはあまり含まれない人も対象となるので,より広い概念として支援技術(AT:Assistive Technology)と呼ばれるようになった.
        • 北欧ではテクノエイド・テクニカルエイドという用語が福祉用具とほぼ同等に意味に使用されている.
        • 支援技術デバイス(Assistive Technology Device)は,主に北米で使用されている用語.
        • 1988年にでたアメリカの法律「障害のある人のためのテクノロジーに関連した支援法:Tech Act」では,支援技術機器を「買ってきたか,そこにあったものか,手直しされたものか,個人に合わせて作られたかに関わらず,障害のある人の機能を増大,維持,または改善するために使われるあらゆる装置,装置の部分,システムをさす」と定義されている.
        • 支援技術サービスとは,障害のある人が支援技術装置を選ぶ,手に入れる,使用することを助けるあらゆるサービスをさす.
      • バリアフリーとは
        • 1961年にアメリカ標準協会が「障害者のアクセスと利用に配慮した設計標準」を発表.1974年の国連障害者生活環境専門家会議で,障害のある人の社会参加を妨げる建築的障壁が取り上げられ,障壁を取り除こうとする「バリアフリー」という概念が紹介される.
        • 当初は障害のある人だけでなく,一時的な不便を感じている人も「The Hadicapped」としてバリアフリーの対象とされていたが,深刻な問題のある重度障害のある人のことが最優先課題として取り組まれた結果,バリアフリーは障害のある人のための特別な対応という考えは定着してしまった.
        • 建築物や道路,交通機関といった公共性の高い,空間的な課題が中心となっているのがバリアフリーであり,生活空間に近い存在として機器や設備などのアクセシビリティを支援するのが支援機器(AT).
      • ユニバーサルデザインと共用品
        • 1985年にアメリカ・ノースカロライナ州立大学(NCSU)のロン・メイスが「ユニバーサルデザイン」という考え方を提唱.「あらゆる建築物や製品は設計の最初の段階から誰でも利用できるよう最大限の努力をはらって設計するべきである」というのがその考え方.
        • 設計段階から多くの利用者像と想定し配慮することで,完成時に修理や特殊対応を行なうより経済的である.
        • ユニバーサルデザインは障害者をいう存在を意識せず,利用者の能力の幅を意識してデザインする方法である.
        • 共用品は,障害のある人,高齢者,健常者の誰にとっても使いやすいよう配慮されら製品のことである.日本では視覚障害のある子どものために玩具に小さな凸をつける運動がはじめられ「共遊玩具」が誕生した.
        • 1990年代に入り,障害の有無に関係なく共用利用可能な商品作りをめざそうという「E&Cプロジェクト」は発足し,1999年に共用品推進機構が作られ,共用品の開発・普及を推進している.
        • 共用品は,障害者でも健常者でも利用できるようにデザインすることで商品化を可能にする方法である.
        • 支援技術(AT)は個別の課題の解決に有効な手段であり,ユニバーサルデザインは全体に対して有効な手段である.ユニバーサルデザインは「障害者のための」ということを意識しないデザインであり,支援技術とは対置されるものである.
      • 高齢者とAT
        • 高齢者の実態
          • 高齢化
            • 高齢化率(総人口に対する65歳以上の人口の割合)は,2000年現在で17.3%.高齢者のみの単独世帯が約250万世帯(1997年).
            • 施設については6260の老人ホームがあり(1998年),207,817人が入居.そのうち74.4%が認知症で,25.6%が寝たきりである.
            • 平成25年には高齢者率は25%を越える予測である.
          • 高齢者の障害
            • 障害のある多くの人は高齢者であり,18歳以上の身体障害者のうち60歳以上が67%を占めている.人口1,000人に対する障害者の出現率は全体では28.9%であり,70歳以上になると94.6%に達する.
            • 65歳をすぎて要介護となった高齢者の半分が「寝たきり」か「ほぼ寝たきり」.
          • 高齢者の障害理解
            • 「病気である」ことを認めることは容易だが,「障害のある人」であることを受け入れるのは困難な場合が多い.障害のあることを恥であると考える高齢者も少なくない.
            • 障害があるとポジティブに生きていくとは考えにくく,他者に依存しがちになる.障害があっても自分らしい暮らしができる情報を知らない場合が多い.
            • 健常者として暮らしてきた高齢者は,障害のある人との接点が無いことが多い.
        • 高齢者と支援技術
          • 暮らしを再構築の手段としてのインターネット
            • 社会との接点を取り戻すためや,独居老人のコミュニケーション手段としてインターネットを活用する.
            • 趣味や生きがいに結びつく活動を作り出す.
            • 全国に高齢者のパソコン学習などを中心にしたネットワーク活動(シニアネット)が広がっている.
            • 高齢者がパソコンやインターネットを利用して,活動的な生活が送れることを目指した「シニア情報生活アドバイザー制度」がある.
          • セキュリティニーズの高まり
            • 独居高齢者の安全を確保するために,セキュリティシステムの開発が進んでいる.呼出システムは不安を和らげるためにも重要である.
            • 監視については,必ず本人へのインフォームドコンセント(説明と同意)が必要である.
          • 高齢者の利用を考慮した情報機器
            大きな文字での表示や,英語表記から日本語表記への変更,操作方法を減らした機器

      次回は制度の紹介とサポート方法をまとめる予定.


      参考文献・サイト
      1. 福祉情報技術 II 生活を支援する技術編
        e-AT利用促進協会 監修
      2. 福祉情報技術 I 障害とテクノロジー編
        e-AT利用促進協会 監修
      3. 福祉情報技術コーディネーター認定試験
        e-AT利用促進協会 監修
      4. アダプティブテクノロジー ~コンピュータによる障害者支援技術~
        ジョゼフ・ラザーロ 著/安村通晃 監訳/島原信一・中村美代子・石田直子 訳
      5. こころWeb
        こころリソースブック編集会

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