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史上最強のバンド

梅田の街をぶらついていて,ふとした拍子に「む,CDが俺を呼んでいる」と感じ,タワーレコード梅田店にて「The WHO's TOMMY」と「JESUS CHRIST SUPERSTAR」のアルバムを衝動で買ってしまいました.どっちもオリジナルキャスト版ミュージカルのアルバムです.今「TOMMY」を聴いてるんだけど,オリジナルやワイト島のライブでThe Whoが演奏したのとは全く違ったアレンジ(当たり前!),ケン・ラッセルの映画版とも違うアレンジで結構面白く聴いてます.

さて,私はロック大好きなのですが,私が史上最強と考えるバンドが2つありまして,それがThe WhoとLed Zeppelin(以下Zep)なんですな.このコラムではそのあたりのところを掘り下げてみようと思うのであります.
(じつは私,Oさんから頂いたマンガに萩原玲二氏の「軽薄ピエロ」というのがあり,氏も最高のロックバンドはZepとWhoと2期のキング・クリムゾン(「太陽と戦慄」~「Red」の時代ね)といっておられました.氏によると「ロックは常に不完全でなければならない」ということで,この3バンドを例に出されたようです.なるほどなぁ,と思ったわけです,以上,ご参考まで)

で,何故「最高」でなく「最強」にしたかということですが,「最高ですか~!」おじさんが嫌いだからというのではなく(嫌いなんだけどさ),単に響きが良いかなぁ,なんてからなんですな.Whoには「最狂のドラマー」がいたからなんてのも実は意識してたりして.

一応知らない方のために両バンドのメンバー構成を書いておくと,Led Zeppelinの方はリーダーでギター(あとテルミン(笑))担当のジミー・ペイジ,魅力の高音,セックスシンボル,ヴォーカルのロバート・プラント,音のでかい,そしてソロでは素手(!)でドラムを叩くジョン・ボーナム(ボンゾ),超一流のセッションプレイヤー,ベースとキーボード担当のジョン・ポール・ジョーンズ(ジョンジー),以上の四名がメンバーでして,ヤードバーズちうバンドを元に発展してで出来あがったのがZepなんですな.

一方のWhoの方はリーダーでカッティングの名手,ギターのピート・タウンゼント,マイクをぶん回すマッチョマン(何故か後期になればなるほどマッチョなんだよなぁ…),ヴォーカルのロジャー・ダルトリー,車のまんまプールに飛びこむ(!),次にどんなフレーズを叩くか見当もつかない最狂のドラマー,キース・ムーン,他のメンバーが舞台をぶっ壊すなか独り淡々と演奏を続けるベース担当(あとホルン),ジョン・エントウィッスル,以上の四人がモッズ文化華やかかりし’60年代中盤見出されたのがWhoです.

このあたり細かく書きすぎると知ってる方からはクレームきそうだし,書き出したらキリが無くなって話が進まんようになるし,大体書くのが面倒なので:)興味を持った方は本屋さんで調べてみようね.

次は私の考える両バンドの傾向と対策を…

まず,Zepに関してはそれまで無かった超高音シャウトのヴォーカルスタイルと,ジミー・ペイジのアレンジされた(悪く言えば凡庸ってことになるんだけど計算されてる)ギターフレーズ,普段は地味なんだけどときにギター襲い掛かるベース,せっかくそこまで作り上げたものをも破壊しようともするドラムといったところでしょうか?でもドラムやってるものの端くれとして言わせて頂くと,ボンゾのドラムってものすごいテクニカルなのよね,音がでかいのは細工してたからということのあるし,ジャズっぽいドラムも叩けるってことは実はボンゾって世間一般に言われてるような無茶なドラマーじゃなくって,間違ったイメージで見られてるドラマーかな,とは思いますな.

前出の萩原氏がおっしゃるにはZepの最高のアルバムは「Presence」ということらしいんだけど,私はちょっとそれは違うんじゃない?と思ってます.っていうのはあのアルバムって確かに短時間で作り上げた密度の濃いアルバムだとは思うんですが,考えてみるとこのレコーディングされた時期のロバートは怪我をおしてのレコーディングだったはずで,今一つ演奏の迫力はあるのにヴォーカルがうまく絡んでいってないというかそこだけ迫力がないというか,どうもしっくりいってないような気がするんです.ただ,“Achilles Last Stand”っていう名曲と最後の“Tea for One”の出来がいいからまとまってるかなと.
(実際Liveの“Achilles…”を聴くと迫力はあるからやっぱり「Presence」はZep自身も納得できてるかどうか,かなり怪しいと思うのですが,いかがなもんでしょ?)

じゃ,私にとってベストだと思うZepのアルバムは何なの?と聞かれたら迷わず「House of the Holly」って答えますね.「I」~「IV(Four Symbols)」までの間にジミー・ペイジが培ってきた音楽のなかに,ジョンジーの考えも反映されてきてそれが一番濃くでてるのがこのアルバムだったと思うのがその理由.へヴィーロックとトラッドだけのバンドではないことを証明したアルバムだし,それをいっちゃうと「Presence」はへヴィーロックのアルバムってことになっちゃうじゃない.あそこまでブルーズをロックに昇華させたのはさすがだとは思うケド….じゃ,「Presence」のあとに出たアルバム「In Through the Out Door」はどうなの?ってことになるんだけど,これアルバム自体の出来はあんまりよくないしジミーじゃなくってジョンジーが前面に出過ぎてる感じがするしね.

で,このあとアル中でボンゾが逝っちゃうわけですが,そこでZepの歴史(まぁその後何度か再結成してるにせよ)は終わっちゃってると思う.ただ,その後ZepのメンバーとYes(イギリスのプログレバンド)がセッションを行なったという事実と,「In Through…」でジョンジー主導のZepを考えてみると,もしZep+Yesという形でバンドが存続していたら,80年代は全く違った音楽地図になっていたんじゃなかろうか,なんて考えてみるのもまた一興ですね.

一方のWhoですが,こちらはピートのリズム感のある高速カッティングのギターを中心にギターのようにリードベースとも言うべきジョンのベース,壊れそうで壊れない暴走ドラムが乗っかっていて(つまり通常のバンドにおける「ギター」と「ベース」「ドラム」の役割がひっくり返っちゃってるのね),ロジャーのヴォーカルが乗っかっているってところでしょうか?ただ,Whoの場合全員ヴォーカルをとれちゃうので荒れた音楽のなかにでも奇妙なハーモニーがあるというのが特徴でしょう.

で,最高のアルバムは以前別のコラムにも書いたけど「Who's Next」と答えます.だって捨曲がないし,あのシンセサイザーの導入は当時としては革新的でしょ.変な音の出るリード楽器として使っていたプログレバンドとは明らかに一線を画してますからねぇ.実際1980年代のアイドル歌謡とかをよく聴いてるとあのようなシンセの使い方してるケースって結構ありますから.もちろん「Tommy」「Quadrophenia」も素晴らしいんだけど悪く言えばピートのマスターベーション的じゃないですか.あくまでWhoというバンドで考えると「Who's Next」でしょう,やっぱり.

ただ,最高の曲は何かということになるとまた違っていてこれだと初期のころの曲,とくに“My Generation”ってことになってしまうのかなぁ,やっぱり.「Tommy」以前の曲も勿論テーマ性を持った曲は多いけど,気軽な感じで聴けるじゃないですか(もっともライブじゃ機材壊しまくりだっただろうけども).パンク旋風吹き荒れる中WhoとKinksだけはパンクスの連中から一目置かれていたっていうのも“My Generation”みたいな曲があったからな訳で,初期のころのWhoもまた違った趣があってよろしいですな.

このようなバンドの性質上ドラマーの存在が重要になるのは言うまでもないのですが,キースは「Who are You」というアルバムを最後にオーヴァードラッグで亡くなるわけです.ま,もっともこのキースの参加した最後のアルバムではドラムを叩くことが出来なかった曲(“Music Must Change”だったかな)もあったことからもこういったことは予想できることだったらしいです,実際.キース亡きあとドラムにケニー・ジョーンズ,キーボードにラビットを向かえて活動を続けるんだけど,キースの占めてた割合があまりに大きく(つまりは極端な奏法=異常に手数が多かったり,奇妙なところでスネアたたいたり,私は変態奏法と呼んでます,真似できません…),曲の魅力半減になっちゃって結局解散してしまうんですね.ラストコンサートのビデオを見たことあるんだけど,まーしゃーないかなぁと思ったもんなぁ(ケニーもラビットも名うてのミュージシャンなんだけどね).

このような両バンド実はお互いかなり意識していたようで,Whoのアルバムにセッションプレイヤー時代のペイジやジョンジーが参加していたとか,Led Zeppelinの名付け親は実はキースの言った冗談からとったとか,ピートは実はZepのことが大嫌いだとか,まぁネタには事欠かん連中ですわ.この両バンド違った音楽性を持ってるんだけど,ライブに関しては結構似たようなことやっててメドレー形式を好んで使ってたというのが特徴の一つかな.あと,ツアー中はホント無茶ばっかしてたようでホテルの部屋はぶっ壊すわ,Zepなんか日本ツアーのとき新幹線で大喧嘩したとか,そういうバカなことも共通点でしょうか?

最後に,WhoはこれまでWhoとして一度も来日してないんですが,もしかしたらまたまた再結成して今度は日本に来るんじゃねーの,ってウワサを街角で耳にしたんですが,マジすか!?もしそれだったら会社休んででも(だからこういった言動は慎めちゅうとんのに),観に行こうかなぁ.大好きなキースはいませんが….日本ではZepはDeep Purpleあたりと比較されたりすることが多いんですが,Purpleからロックの道に誘われた私でもいつしかZepに辿り着いたんですね.Purpleはハードロックとクラシックのみ(ってことはないんだろうけど)って感じに対して,Zepの方はもっと幅広い視点を持ってる気がするんですがいかがなもんでしょ?決してバカにしてるんじゃなくって,Purpleと比較すべき対象はBlack SabbathとかUriah Heepあたりと比較した方が面白いとおもうのですが.あと,Whoについて頼むから日本に来て,あなた達日本に来てないからあまり知られて無いだけなのよ.実際,BeatlesやStonesには僅かにかなわないか同程度のクラスな訳で,そういったことを見せ付けるためにも一度日本へ来てくれ~~~っ!!

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