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あるパスティーシュ作家の作品とその演劇性に関する考察

タイトルだけは仰々しいですね.今日は私の好きな作家の清水義範さんのことをネタにします.清水さんの本を読むきっかっけは例の「木沢村行軍事件」のもやしさんの紹介からなんですね.清水さんは「パスティーシュ作家」の異名を持つとおり,様々なネタをパスティーシュするところが持ち味です.ちなみにもやしさん,私に「秘湯中の秘湯」という短編集の「ジャポン大衆シャンソン史」という小説が面白いと紹介してくれたのですが,もやしさんはこれが本当にフランス人向けの日本大衆歌謡を紹介する文章をさらに日本語に訳した文章と思っていたようで,この辺り清水さんのパスティーシュ作家としての実力が垣間見えるというところでしょうか.例えば「永遠のジャック&ベティ」という短編は中学の英語の教科書に出てきたジャックとベティが30数年ぶりに再会し,喫茶店で話をするのですが,どうしても教科書を訳したようなしゃべりしかできない,なんていうパスティーシュになっておりまして大学の研究室の連中がもろ気に入って笑い転げていたのを覚えています.

当然なんでもパスティーシュにするもんだから結構芝居にしたら面白いんちゃいます,っていう作品がかなりあるんですね.例えば「バールのようなもの」という短編集にある「役者語り」という作品なんかは,劇団「徳島」でも大女優さまが演じた「化粧」という一人芝居がベースになっていると思われるのですが,そこにシェークスピア劇を演じる役者が歌舞伎役者のように世襲制だったりしたら,なんていうかなり込み入った話になっておりまして,これってト書きさえあれば一人芝居として成立しちゃうんではないかという作品だったりします.

あと私が劇団「徳島」の自己紹介でやってみたい芝居の中に,「ひとりで宇宙に」(短編集「グローイングダウン」に収録)というSF短編も冥王星調査に行った宇宙飛行士の数奇な運命を描いた作品なんですが,これいつか一人芝居で突然披露しようかなどと企んでいる小説だったりします(テーマソングはベタにYapoosの「宇宙士官候補生」でお願いします).だってこの話,最後のオチまでの持って行き方次第ではかなり面白いとおもうよ.

そしてあと私が芝居にしたら面白そうだなぁと思う短編をいくつか挙げると,作者自身の若い頃の経験がモチーフになっている,ファッション情報会社に勤める若者と彼の下宿に来た不思議なおばあさんを描いた「また会う日まで」(短編集「グローイングダウン」に収録),これなんか二人芝居にしたら面白くなるのでは.事故で息子が入院している体育教師とその担当医を描いた「復讐病棟」(短編集「アキレスと亀」に収録)なんかはうまくまとめれば二人芝居による心理劇になるかと.劇団「徳島」的立場で書かせて頂くと,訪ねてきた客にその人の思い出にちなんだ食事を出してくれる食堂を描いた「時代食堂の特別料理」(短編集「国語入試問題必勝法」に収録)は重厚なる新劇風の舞台作りでいけば,かなりの感動を誘う作品に仕上がるのではないかなと思います.もちろん単純に面白い短編(ショートショートに近いかな)がたくさんありますので「清水義範の世界」風にスケッチ集をやってもいいと思うのですが,いかがでしょうか?

実際清水さんの小説は舞台化されてるものもあります.「バールのようなもの」は立川志の輔により落語として上演されています.また以前展示会の仕事で清水さんの地元・愛知にいったとき,来賓でいらっしゃってた方の中に役者の方がたようで,その方が「やっとかめ探偵団」(清水さんの人気シリーズと同名)という芝居を終わって急いで駆けつけました,みたいなことをおっしゃってたもんでこのようなことを考えてみました.

最後に,こうして書くと清水さんはパスティーシュだけなのかというとそれだけではありません.直木賞候補になった「虚構市立不条理中学校」なんか教育学部を出た清水さんの,現在の教育に対する回答の一つだろうと思います.あと私,大好きな長編がありまして「スシとニンジャ」という作品なのですが,だれかこれ映画化して頂けません?忍者や武士に憧れて日本にやってきた外国人と日本人のふれあいを描いた佳作なんですけどねぇ.ほかの長編ものも映画にしたらGOODかなぁと思うものも多いなぁなんて考えてみたりして.

清水さん,このページを見ることはあるんでしょうか?もし見ていただけたらメール下さいね~.

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