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2000年7月

鳥葬

「オレが死んだら鳥葬にしてくれ.」
冗談交じりに奴はそう言った.大学前の喫茶店で,いつもは満員なのにその日は何故か奴と私,後友人二人の四人だけだった.その四人で人生観などを語っていたのである.

奴は宇宙工学がやりたかったらしいのだが,そんなことをやっている大学には入れないことを模擬テストの結果が教えてくれた.そしてこの片田舎の大学に落ち着いた.

よほど居心地が良かったのか,奴は六年間もこの大学にいた.背は低くガリガリで弱そうな奴だったが,常に自分の考えを押し通す,そんなタフな奴だった.

そんな奴が突然いなくなった.何の置き手紙も連絡もよこさずに.「まぁ,奴のことだから二,三日すれば帰ってくるさ.」みんなそう思っていた.

ところが三日後,奴の変死体が上がったことが新聞に載っていた.多分どこかの岬から身を投げたのだろう.何で彼が自ら死を選んだのか,私も友人達も家族さえも分らなかった.

聞くところによると奴の死体はカモメかなにかの鳥についばまれていたらしい.その事実を「鳥葬」といって良いものかどうか,それは私には分らない.海でカモメを見るたびに奴のことを思い出す.奴は今でも空を飛んでいるのだろうか.

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純日本産少年

生まれたときから回りにはロックがあふれていた
歌ってるのは日本人だったり外人だったりした
だけどそんなことはどうでもよくてとにかくそれはロックだった

オレは日本で生まれて日本で育った
だけど演歌を聴いても楽しくないし民謡なんかよく知らない

今日もテレビでバカが言う「日本人離れしてますねぇ」
一体なにが日本人なの 離れてるってなんなの?
あんただって日本で生まれて育ったんじゃないの?

こんなことを言ってみても体が勝手にロックを欲しがってるんだ
オレって誰? オレって何?
ただただ言えることはこれだけだ
ロックだ大好きで イタズラ好きで
そんなオレは純日本産少年

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「フォリア・ドゥ -伝染-」お手伝い日記兼観劇記

というわけで行ってまいり参りました.徳島の劇団「天然ピアス劇場」(以下天ピ)の第3回公演「フォリア・ドゥ -伝染-」を観に…,ではなくお手伝いに.そもそもだね,公演の2日前になって大学時代の友人でバンドのヴォーカル担当THUから緊急の電話がありまして,どうも公演のスタッフが足りないなんてことになってたらしく,私いろいろお手伝いさせて頂きました.モギリは初めてやったけど結構大変だけど楽しいね.浅香先生にも久々に会えたし.うつの私にとっていいリハビリになりました.ホント,天ピの皆さん,ありがとうございました.

前振りはここまでにしといて,ここからが本題.私なりに劇評とやらをかかせていただきたいと存じます.結構キッついことも書いちゃうかもしれんけど….では,早速….

劇自体は成立していたと思うし,理解できる範疇にあるものでした.ただタイトルにある「伝染」ってのが今一つよく分らんかった.多分,古田先生は「17歳の犯罪群」をイメージして本を書かれたと思うのですが,そういった感じはでは無かったかなぁと.解離性障害については「レイコさん」をふたり登場されることで際立って分りやすかった.ただ,残念なのはせっかくコンパの話をしている訳だから,そのコンパの中で解離しちゃう,そんなのをもっと入れることが出来たら,もっと面白くなったんじゃないでしょうか?

私自身こういうサイコものというか精神を扱った劇を観るときには,結構「幻惑される」というか「もうどこかに連れてって」というか,不思議な「浮遊感」みたいなものを期待して劇を観るんです.今回もそれを出そうとした努力のあとは感じられるんですが,正直「浮遊感」は感じられませんでした.あえてコンパのところに力を入れてそういったものを排除したのかなぁ,とも思いましたが.
(タイトル失念で申し訳ないんですが古田先生ってあのM君の事件の本かいてらっしゃいますよね,あれ一度だけ観させていただいたんですがあのときの「浮遊感」は強力でしたもんで,ついこんなことを感じたのでした,以上言い訳)

真っ赤なバラについてですが,ストーリーには上手く絡んではなかったように感じます.単純に「アメリカンビューティ」を意識してるからやとは思うんですが,映画を観てた人へのサービスみたいな気がしてならなかったです.でも最後にバラの花びらが飛んだのはものすんごく印象を強めたところがあって大正解でしたね.私一人なんか心がときめいておりました.

あとプロジェクタですが,なぜあの画像(諸般の事情にて詳しくは書けんのが辛い…)を持ってきたのかはよく分らんかったです.日常と非日常を際立たせるためかなぁ,とも思ったんですが,あれだと訴えたいことが逆に伝わりにくくなるんじゃないか,そういう気がしました.

4人の話が長いということを言ってる方はかなりいらっしゃいました(アンケート回収中にそんな声をよく聞きました).でも,私はあれでよかったんじゃないかと思います.欲を言えば先述の「解離」の話が出てればこのような意見はでなかっただろうとは思うケド.かめちゃん基本にしてあとがそれにツッコミを入れる的な方針はよかったと思うし,その方が話も転がりやすいだろうし,実際喫茶店で話してる子を見てるようで楽しかったです.男としては女の子のコンパ感みたいのが分って参考にさせていただきました:).実は私,ホンダのビート(2シーターの軽)を買おうかなぁ,なんて思ってたのですが思いとどまるかもしれません.確かに男性雑誌の「女が感じる男のしぐさ」みたいな特集ってもてない私には参考にしようと立読みするんですが,あれがホンマ役にたたんことよーく分かりました.それが分ったのは大きな収穫ですね.

あの自然体が出せるってのは天ピの大きな特徴になると思います.前,一観客として観たときもすごい自然体の演技をしてたし.この部分では天ピなかなかいい線いってるんじゃないですか.是非,今後の作品にも期待させていただきます.そのときにもお手伝い(というか邪魔?)させていただきたいので呼んでね.

ド素人の感想文だからあまり気にしないでね.一応思ったことを正直に書いた次第ですのでよかったら参考にしてください.

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難物小説

今うつのため心療内科に通ってるわけですが,こっぱずかしゅうて先生に言ってないことがあるんですよ.実は私,あの夢野久作の奇書「ドグラ・マグラ」を楽しく読破させて頂いておりました.まさか,この本読んだからうつになったんじゃ…ないよなぁ?多分….

実は学生時代,悪友に「ドグラ・マグラ」の映画は見せられた訳.で,原作本をちょいと読みたくなって思わず梅田のジュンク堂で買っちゃったんですよ.怖かったね.だって「これを読む者は一度は精神に異常をきたす…」なんてことが裏表紙に載ってるんだもん.まぁ,ホラー映画なんかでもこういう脅し文句がのってたりするから,あんまし気にしてはなかったんだけどね.

でも読んでみてびっくりした.映画は映画でカルトムービー的によく出来てたとは思う.今は亡き桂枝雀師匠演じる正木教授はすごくはまってたし,松田洋次も精神的なナイーブさがよく出ていた.結構な佳作じゃないかと「先に映画を観た」段階では思っていた

ところが,原作はその上のまた上を行く凄まじさだったんだなぁ,これが.映画には書かれていない部分の濃いこと濃いこと.特に終盤明かされるMとWの争いをそこから起こる大どんでん返しにはびっくりした.正直,ほんと自分というものの存在のあやうさみたいなものを感じたね.

裏表紙には「エログロナンセンスの極」みたいなことが書かれていたけど,そんなもんじゃない.自分という存在への恐怖,科学者と科学者のぶつかりあい,そしてなんといっても異様なまでの密度の濃さ.そんなものを感じました.

例によって内容には一切触れません.映画から観るもよし,本から入るもよし.自分でその恐怖感,倫理観,自分の存在の確認,そんなもののために一度読んでみて下さいな.

注意とお詫び
先日,W県のOさん(内科医)のところにお見舞いにいったところ,現実問題こういった小説などで精神に異常をきたす可能性は否定できないそうです.例えばピンク・フロイドの「狂気」があれほどロングヒットした理由は,ドラッグをキメたときにより効果的にする訳だったのよね.そういうことを考えると,映画にしても,テレビ,音楽,演劇,小説などなど,いかなる表現においても気をつけな結構ヤバイということになります.昨今流行っている「サイコホラー物」のドラマや映画も精神的に弱ってる方は,なるべくなら観ない方が無難らしいです.とりあえず注意を促す意味と自分の無知をお詫び申し上げます.最終的には自己判断で観るかどうかを決めればいいのでそのあたりは皆様におまかせいたします.とりあえず…

さっきまでのが実は23日に書いたところなんです.今日病院行ったときに先生に聞いてみました.その回答は
「まぁ,現実と虚構がきちんと区別できてれば影響はありません.だからyas-shiさんが『ドグラ・マグラ』を読んでおかしくなったってことは無いです(キッパリ).ただ今後バーチャルリアリティの世界が広がってくるとどうなるか分りませんけどねぇ.」
ってことは裏を返すと現実と虚構を区別できない奴の場合思いっきり影響しちゃうってぇことじゃないの,この回答って.それってヤバイんじゃないのなんて感じましたわ.あと,精神系が専門の先生って夢野久作が結構好きみたいね.話のなかで「『少女地獄』読みましてね,あれ時代背景とか書かれてて面白いんですよ」などとおっしゃっておりました.

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