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1998年12月

私の好きな映画たち

ぼくはえいががだいすきです.とくににほんえいががだいすきです.なんか,まわりのみんなは,にほんえいがっておもしろくないじゃん,なんていうやつがいっぱいいるんだけど,それって,ほんとにおもしろいえいがをみてないんじゃないのかな,ってぼくはおもいます.にほんえいがってとらさんやつりばかにっしだけじゃないんだよ.

失礼,さっきETVみてたらダニエル・キイスが出てたもんで「アルジャーノンに花束を」風に書いてみたけど,これ読みにくいなぁ.真面目に書こう.大学に入ったころから,私はまわりの友人に「日本映画って面白いよ」ってなことを言ってまわった訳ですよ.でも,みんなは分かってくれない.まぁ,そうだよな.日本映画って興行システムに結構問題あると思うわ.日本映画って海外で何かの形で評価されない限り,全国で公開される映画って限られてるもんね.本当に面白い映画って単館ロードショーだったり,3大都市のみロードショーみたいなことが多いもんなぁ.こういう点では4月から大阪で生活するのは結構楽しみだったりするんです.

大学に入った当時みんなに薦めた映画ってのが,「薄れゆく記憶のなかで」っていう映画なんですが,皆さん,知ってます?恐らくは単館でのロードショーだったんじゃないかなぁ.私もビデオで観たんですが,観音寺と徳島でたくさんのビデオ屋さんに行ったけど,レンタルしてたのは観音寺の1軒だけでした.しか~も,そのビデオ屋さん,こないだ実家に帰ったとき前を通ったらつぶれてました.青春のほろ苦さととり返しのつかないことをしてしまった男の辛さを描いた名作なんですけどねぇ.ちなみにこの映画でデビューしたのが,「ふたりっ子」のお姉ちゃん役の菊池麻衣子とドラマなんかでも活躍している堀真樹だったりするんですね,これが.ほんま名作だからもしレンタルしてたら借りちゃって観ちゃって下さい.絶対,損はしないです.

さて,そんな日本映画.最近でこそ海外で評価されることが多かったり,若手がどんどん台頭してきているという状況でありますが,日本映画冬の時代(具体的には'80年代)のころから,多くの固定ファンを持っていた2人の監督がおりました.ま,私もそんなファンの1人なんでありますが,その監督こそが大林宣彦監督相米慎二監督なんであります.この2人,似ているところも多いんですが,そういうところをみていくと結構面白かったりします.

似ている点!その1,当りはずれが馬鹿でかい,しかもその一般的には「はずれ」の映画でもその監督の作品であることが感じ取られ,そこが憎めない点であり,次につながると思わせてくれるところ.メジャーの世界にありながらカルト的な楽しみ方ができるってことですね.こういった感覚で観ることのできる映画ってのは,大林監督であれば「日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群れ」,「SADA」といったところであり,相米監督であれば「ションベン・ライダー」,「光る女」といったところかな(私は好きですけど,大方一般受けはしないわな,この映画達).

その2,そういったカルト的な楽しみができる監督ってのは,メジャーに背を向けて「やっぱインディで撮るのががいいじゃん」ってな状態に陥ることが多いけど,決してそういう状態になることなく,メジャーなフィールドでの作品作りをしているという点.日本映画のメジャー,インディの2極化ってこういうところにも原因があると思うし,お互いの距離が離れた結果「日本映画,つまらねぇ」って状態ができたことは否定できないでしょう.さて,私がそんなことを感じるのは,この2人の監督が'80年代を象徴する「角川映画」の代表作を作ってるってことからなんですね.大林監督は「時をかける少女」をはじめ「ねらわれた学園」「天国にいちばん近い島」「彼のオートバイ,彼女の島」などなど.相米監督はあの「セーラー服と機関銃」を作ってますね.'80年代,映画ファンから揶揄されながら,メディアミックス戦略を駆使しつつ映画の出来に関係なく,非常に高い興行成績を記録してきた「角川映画」.中には光る作品もあるんだけど,駄作も多かったすよね.そんな角川映画の代表作をこの2人の監督が作ってるってのは何か象徴的です.他にも大林監督だとフジテレビと組んで「水の旅人 侍KIDS」を撮ってみたり,相米監督だと読売テレビと組んで名作「お引越し」「夏の庭 The Friends」を撮ってますね.

その3,アイドル女優を輝かせるのが上手い.しかも,女優として大成するケースが多い.大林監督の映画を経験した女優っていうと,小林聡美(「転校生」「廃市」),原田知世(「時をかける少女」「天国に一番近い島」),富田靖子(「さびしんぼう」「姉妹坂」),石田ひかり(「ふたり」「はるか、ノスタルジィ」)といったところ(他にもいっぱいいるんだけど).相米監督だと,薬師丸ひろ子(「翔んだカップル」「セーラー服と機関銃」あっ,大林監督の「ねらわれた学園」にも出てたなぁ),河合美智子(「ションベン・ライダー」),工藤夕貴(「 台風クラブ」),斉藤由貴(「雪の断章 -情熱-」),牧瀬里穂(「東京上空いらっしゃいませ」)ってなかんじです.どちらの監督も結構アイドル女優にとっては厳しい注文をするから成長するんだろうなぁ,なんてことも考えるし,やっぱり見る目もあるんやろなぁ,と思う訳です.

その4,何かがぶっ飛んでいる.大林監督の場合,サービス過剰な演出(「青春デンデケデケデケ」「HOUSE ハウス」「ねらわれた学園」),やたら細かいカット(「青春デンデケデケデケ」「女ざかり」),コマ落し(「おかしなふたり」「SADA」),オプティカル合成(これはいっぱいあるな),ハイビジョン合成(「ふたり」),フレームの中のフレーム(いっぱいあるけど「転校生」のラストは秀逸!),オープニングの「A MOVIE」(これもいっぱい),モノクロ,カラーの混在(これも多いね)照明を控えて意図的に台詞も聞き取りにくい(「北京的西瓜」「女ざかり」)なんかかな.でもこういうのばかりじゃなくて「廃市」みたいな作品もあるんだよなぁ.こういう風に裏切られるのも気持ちいいんだよね.相米監督の場合,最近は減ったけど強烈な,手段が目的と化してしまったかのような長回し撮影(「ションベン・ライダー」のオープニング7分,エンディング10分は必見!!「台風クラブ」の体育館での“演劇部最後の公演”シーンもGOOD!),ビデオで観ると誰が誰だか分からない,引きに引いた長ロングショットで作られた構図(「ションベン・ライダー」の“デブナガ”を探す決心をするシーン,「セーラー服と機関銃」の最後の方の屋上のシーン)何がなんだか分からないモノたち(しつこいようだけど「ションベン・ライダー」に顕著,「台風クラブ」のオカリナ吹きも不気味,我らが武藤敬司主演の「光る女」のクラブのシーンもすごいよね)で,こんなことばかりやってた相米監督が'90年代にシェイプアップした形,というか非常に見やすい形で戻ってきたとき(「東京上空いらっしゃいませ」)はよかったんだろうか,と悩んだものでしたが, それ以降2本の名作「お引越し」,「夏の庭」を残しているのを観ると正解だったんですな.やっぱり,こういう風に裏切られるのも気持ちいいんだよね.

ちょっと長くなりすぎちゃいましたね.じゃ最後に2人の監督の作品のうち私の好きな作品(ベスト1)を挙げておきましょうね.

大林監督,表のベスト1は「さびしんぼう」,裏のベスト1は「おかしなふたり」,真のベスト1は「廃市」でしょう.「青春デンデケデケデケ」は番外です(だって私の母校が舞台だもん,冷静に評価できんって,でもとってもいい映画だよ).この3本を観ると大林監督の懐の深さが分かりますよ(よく世間で言われる「甘ったるい少女漫画みたいな作品ばかり撮る監督」っていう印象は薄れると思いますな).大林監督,新尾道3部作の完結編の完成を心待ちにしております,がんばって下さい('99年中には観れるかな?).

相米監督,表のベスト1は「台風クラブ」,裏のベスト1は「ションベン・ライダー」,真のベスト1は「お引越し」ですね.この3本を観ると,このおっさんなに考えとんやろ,と思うでしょう.ま,観るものの感性が試される作品ですし,本人も「観る人に任せます」ってスタンスだから,それでいいと思います.相米監督,「あ,春」,完成おめでとうございます.実に4年ぶり(になるのかな)の新作ですね.私の住む徳島では公開してません.またビデオかなぁ…これからもがんばって下さいね.

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大英帝国的空飛大馬鹿曲芸団

今年(1998年)の9月,NHKの治外法権枠とされる金曜深夜24時30分(註:「Mr.ビーン」の枠)で,実に30年近く前に製作されたコメディ番組が,新番組として放映されたのでありました.その番組こそ,それまでのコメディの流れを変化させ,今なお多くのTV番組,映画,舞台,果ては音楽までも影響を与えている「空飛ぶモンティ・パイソン -Monty Python's Flying Circus-」なのであります.見た人,いるかなぁ?

知らない人のためにちょっと説明を….モンティ・パイソンはイギリスの6人組コメディグループです.メンバーを紹介すると(()内はハマリ役),イギリスの学生劇団,「ケンブリッジ・フットライツ」出身のグレアム・チャップマン(検閲する軍人がはまり役),ジョン・クリース(シリーウォーク!),エリック・アイドル(この~ちょんちょん),「オックスフォード・レビュー」出身のテリー・ジョーンズ(裸のオルガン弾き),マイケル・ペリン(ガンビーさん!!),そしてアニメーターとして参加した唯一のアメリカ人,今では映画監督として有名なテリー・ギリアムの6人です.で,この6人が結集して制作され,1969年から英BBCで放映されたのが「空飛ぶモンティ・パイソン -Monty Python's Flying Circus-」なのです.

さて,ではモンティ・パイソンの魅力とは何なんでしょう?それは簡単には語れません.ガンビーのネタに見られるように労働者階級の連中をバカにしたかと思えば,上流階級馬鹿決定レースのように攻撃の対象は選ばないし.議論部屋に見られるように知的でスタイリッシュな笑いを提供したかと思えば,突然人が爆発したり,意味もなく主婦がサルトルに会いに行くといったシュールな笑いもあるし,かと思えば,突然コミックソングが始まってみたり,で,あのシュールの極みともいえるギリアムのアニメがあるし….

結局のところ,モンティ・パイソンの魅力とは,「馬鹿」ってことでしょうね.くだらないこと,人が眉を顰めるようなこと,子どもじみたことをオックスフォードやケンブリッジ出身のいい大人たちが一生懸命考え,制作し,演じるわけだ.しかもそれば英国の国営放送が放送するという.これを馬鹿と言わずになんと言おう!馬鹿もやるところまで徹底的にやったってのがモンティ・パイソン映画「モンティ・パイソン 人生狂騒曲 -Monty Python's The Meaning of Life-」の序盤に収録されているミュージカル“すべての精子は偉大なり”(!)でしょう.馬鹿もやるところまでやると気持ちいいもんです.

切れ間なくテンポ良く進むスケッチ群,斬新なアイデア,安易なオチを求めず見る者の感性が試される,30年たった今となってもなお新しい.それが「モンティ・パイソン」なのです.今のお笑いに飽きた方にお薦めですし,そうでない方にはその笑いのルーツを探る意味でもお薦めですね.またNHKさん,放送して下さい!お願いしますよ!!

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第十堰問題

今,徳島で一番ホットな話題といえば“第十堰の可動堰化を問う住民投票を求める署名運動”でしょう.先日(12月2日)に徳島市の署名活動が終わりました.県外の方のために簡単に説明していくと,この計画は現在,吉野川にある“第十堰”を壊して,その下流に“可動堰”(ちょうど長良川のときみたいなの)を作ろう,ってものです.議論を明確にするために自分の立場を明確にしておくと,可動堰化には“反対”の立場です.しかしながら,今回の住民投票を見ていると推進派,反対派とも首を傾けたくなる議論がされていたように思いますので,ここで私の考えを書いておきます.

可動堰化に関する問題で交わされている論点は以下のようなところでしょう.

  1. 環境問題
    可動堰化を行なった場合,水の停滞によりヘドロが溜まり水質が悪化し,生態系が破壊される.
  2. 経済問題
    可動堰化した場合,可動堰の建設費に約1000億円,維持費に年当り7億円に費用がかかる.
  3. 治水問題
    今の第十堰は“60年に一度”の洪水にしか耐えられない.可動堰化した場合,“150年に一度”の洪水まで耐えられる.
  4. 利水問題
    もし,洪水により第十堰が破壊された場合,旧吉野川に水が流れなくなり,鳴門市,板野郡に水道水を供給できなくなる.

簡単ですがこんなところでしょう.1,2は反対派,3.4は賛成派の主張ですね.それぞれに対する私の意見を述べたいと思います.

では,1から….これに関してはまさにおっしゃるとおり,というところです.賛成派によると,可動堰化における環境への影響は「微々たるもの」らしいですが,これは信じることができません.というか,長良川のときにも同じようなことを言ってましたよね.で,河口堰完成後,水質が悪化したのは周知の事実なのですが,あれって「微々たるもの」の範囲らしいですね.また,長良川と吉野川では条件が違う,なんてことも言ってるようですが,そんなの当たり前のことで,「川の流れを止める」ってことに関しては同じなんだから,似たような状況になるんじゃないかな,と考えてしまいます.

2に関しては,これを賛成,反対の材料として考えるのはナンセンスでしょう.だって,利水,治水のために金はかかるものですから.つまり,ここで論じるべきことは,「可動堰が必要かどうか?」ということであり,金云々は後からついてくるもんじゃないでしょうか?
#治水のことを考えると,可動堰にしなくても今後同等の維持費は必要だと思います.

3に関してですが,「60年に一度」とか「150年に一度」とかいうのは意味がないと思います.というのは,「災害を未然に防ぐ」ってことは確かに重要なことなんですが,それ以上に重要のなのは「災害は起こるものである.大切なのは災害が発生したときの対策を考えておくことである」ということではないでしょうか.誰もが思いもしない災害って阪神大震災を見ても分かるように,起こるものですよ.つまり,ここに対する私の意見は「安全のために可動堰をつくるよりは,災害時の対策を立てることがもっと重要」ってな感じになります.また,同様の理由で,この点に対して反対派の皆さんが良く言う,「150年に一度の洪水に備えるといっても可動堰は150年持たない,だから可動堰は必要ない.」という意見もちょっと的外れかなと思います.
#でも,この点って反対派の人にとっては苦しいポイントですよね.もし災害が起こったとして,その時の可動堰化していたとすると「1000年に一度の災害だった」って言われりゃ終わりだし,可動堰化してなかったとすると「可動堰化してなかったから災害が起こった」って言われそうだし.辛いところですよね.

4に関しては,これはそのとおりだと思います.反対派の人もこの点は認めなければならないのではないでしょうか.ここで重要なのは,3にも通じることですが水が一時的に利用できなくなる可能性がある,ということを理解しておきその対策を立てておく,ということでしょう.

結局のところ,重要なのは「可動堰化した場合のメリット」と「可動堰化しなかった場合のメリット」を比較する,っていう点が抜けていると思うんですよ.どちらのメリットが大きいかを考えるということが,賛成派,反対派ともに論じている人が少ないと思います.

私自身は,徳島に必要なのは可動堰を作って環境が悪化した吉野川より,これまでの第十堰のままで美しい吉野川を守る,ということが大切だと考えます.これまで,どこ地方でも「東京のような都市」を目指してきました.幸か不幸か徳島をはじめ四国の4県はその流れから取り残されました.そんな徳島の誇れるもの,それは「美しい風景」と「阿波踊り」です.それを守ってほしいから,私は第十堰の可動堰化に「反対」します.

追記
これを書いたのも随分と以前のことになるなぁ.徳島に行って吉野川の土手の上の道路を走ったり,そこから見える風景を見たりしてるとこの頃を思い出すのです.住民投票のときには既に大阪に来てたんですが,反対派の人から票を入れてくれってメールが来たのももう思い出ですね.あっ,もちろん大東市民になってたんで投票権無かったんですが.

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